最近はスマホだけでも、それなりの綺麗な写真が撮れるようになった。特にiPhoneは11で大幅にクオリティが上がった。一眼レフ、デジカメといった写真撮影専用に大層な機器を揃えなくても、身近なシーンを手軽に瞬時に撮影して楽しむ程度であれば、スマホでパシャリ。それで十分、それが一般的なスタンダードである。もちろん、自分のその流れに乗る一人である。

ただ、誰もが自称カメラマンになれる時代だからこそ、その写真のクオリティはピンキリだ。プロ顔負けの写真から、素人丸出しの写真まで実に様々。

同じ被写体を撮影しているにも関わらず、だ。では、その差はどこで生まれるのか。

F値?光源?

もちろん、そういった設定や意識は大事なんだけど、そもそもそれ以前の、基本的な「写真の構図」を知っておくとマシになるよ、というお話。

三分割法

縦軸、または横軸を三分割にして、それぞれの境界線または境界線の交差点に被写体が来るようにレイアウトすることでバランス良く配置が出来るという、王道手法。

iPhoneなら、「設定」→「カメラ」で「グリッド」をONにすると、縦横にそれぞれ2本の線が表示される。これを表示させることで簡単に三分割法を意識した撮影が出来る。

ぴったりとラインに合わせる必要はなく、全体のバランスを見ながら少しずらしたり、3列、3行の領域を意識して配置する。

01.

左下の縦横のラインが交差する付近に、被写体「木」を配置。雲の塊もざっくりと右上の縦横のラインが交差するあたりに位置する。全ての要素を、それぞれのポイントにキッチリと置こうとしなくて良くて、こんな感じでざっくりでいい。

ちなみに、地面(奥の山?林?を含む)の領域は、一番下の横ラインあたりにおおよそ収まっていて、地面:空の割合は約3:7となる。

02.

一番手前の木を、右の縦ライン上に配置。木漏れ日は横ライン上を配置。木を中央に配置して撮影してもいいが、中央から右にずらして配置することで、左側の枝先あたりまで写真に収まり、枝の伸びている様子や垂れる動きがしっかり見える。

また、左の余白を広く見せられるので、そのスペースの広がりや奥の抜けも感じることが出来る。そこには、木漏れ日が差していたり、奥にも木があって、その木も枝を広げていたり。

ちなみに、この写真を三分割している一番左の列を1列、手で隠してみると、木を中央に配置した写真と同じ構図になるが、空間が狭く感じるはずだ。

理由は簡単で、余白が少なくなり、写真の中で「木」が占める割合が多くなるから。更に手前の木が中心に来ることで、主張が強くなり「ドーン」と言った効果音が似合う感じの強い写真になる。

※どちらが正解とかはないが、そういう見せ方をしたい場合は、中央に配置するだけでなく、さらに下から木を見上げるように撮影することで、迫ってくる感じを表現することが出来る。

03.

これは色々な構図が混ざっているけど、まずは夕日が縦ライン上に位置する。続いて道路。中央ド真ん中へ抜けていくような見せ方になっているんだけど、カーブ途中で、左下の縦横のラインが交差するあたりを通過して曲がっている。

色の割合でいえば、「道路」と「それ以外」の割合がキレイに半々くらいの割合。

四分割法

縦横を4等分にした構図。三分割だと7:3の割合だが、それよりももっと8:2とか9:1などのもっと極端なレイアウト。なんでそんな極端にするのか、というと「空間を広く見せたい」から。

被写体、というか目立つオブジェクトを端に配置することで、写真内でそれ以外の領域が多くなる=見る側はその領域に広がりを感じる。三分割法でも同じような効果はあるが、それよりもっと広く見せたい時に使える。

01.

大きくそびえる橋脚・もしくは塔を画面の左に配置。一番左の縦ラインのちょっと横に、大きな質量のシンボルを配置することで、画面の右側は抜けたような広がりを感じる構図。そのお陰で、ただ道路がそこにあるんじゃなく、壮大な空間の中へ、道路が伸びていく印象になる。

02.

標識を一番右の縦ライン上に配置。それ以外のオブジェクトは存在しない。その上で、標識を大きく撮らず、小さめにポツンと見せているので、空間の全体的な領域がとても広い。雲で先行きが悪く、だだっ広い不安な空間が広がっている感じ。

標識の左側には、奥に伸びる道がある。これが中央に位置しているのもバランスが良く見える要素の1つ。

対角線構図

三分割法、四分割法は、被写体の位置を縦横のどこに置くか、というのがポイントだったが、対角線構図はシンプルに「被写体を斜めに配置する」だけ。

対角線構図という名前だが、別に画面の対角線を意識する必要はなく、とりあえず斜めに撮る、斜めに置く、でOK。斜めに見せることで、奥行きや動きをより効果的に見せることが出来る。

01.

正面から撮ると単調でつまらない、または立体感が見せられない。そんな場合はこのように斜めから。アングルが変わるだけで、そのオブジェクトの凹凸だったり、奥との距離感だったりが伝えやすい。

被写体を置く位置は、例えばこの写真のように三分割法に則った位置など。もちろん、奥の広がりを見せることを優先するなら、四分割法で構図を作ってもいい。

02.

道路、線路。これらに対して真正面から撮影すると、電車の顔しか見えないし、道路の奥行きも見えないし、車も重なってしまってつまらない。

それをこのように斜めから見ることで、道路/線路の奥行きが伝わるし、電車や車が行き交っているさまも伝わる。電車は三分割法でのライン上に位置するが、奥の道路の行先(地平線あたり)は、四分割法のライン上あたりか。

四分割法が広がりを効果的に見せることが出来るので、道路/線路に四分割法と対角線構図が適用されることで、より広がりが伝わっているはずだ。

03.

こちらも同様。手前の大きな岩が三分割法~四分割法の縦ラインあたりに位置し、斜めから撮影した対角線構図を取り入れた写真。岩が無数に奥に伸びてる感じが伝わるし、海が広がっている様子も見える。

横に伸びる雲は、三分割法の横ラインあたりにあるので、広がりを見せつつ、オブジェクトをバランス良く配置出来ている例。

日の丸構図

被写体を日本の国旗「日の丸」のように、写真のど真ん中に配置する構図。「人間って写真を撮る時にこの構図で写真を撮るのがデフォルトじゃない?」ってくらいに一般的で、なぜか自然とこの構図で撮る人が多い手法。

例えば、運転免許証とかパスポートとか学生証とかをイメージしてもらうと分かりやすいんだけど、とにかく単調でイマイチな写真になりがち。

じゃあ、どうすれば映える写真になるのか。それは、左右対称だったり、上下対称だったり、中央以外は「目が行かない(ボカして主張をなくすとか、統一性がない状態にする)」ようにしたり。もしくは、中央から全体に広がるような動きを見せたり。

中央というのは、絶対的な主役となる位置なので、その見せ方、その強調の仕方、もしくはそこに目線を誘導するための工夫、が必要になる。

01.

中央に人物の顔を配置、周囲は上下左右でなんとなく対称なレイアウト。こうすることで収まりが良くなる。元々、人物がそこにいなくても、上下左右で対称なレイアウトが収まりは良いが、人物が入ることでアクセントになっている状態。

02.

中央に街が位置していて、周囲は空と海。地平線が中央付近にあって邪魔してないし(空を少しだけ広くみせたほうが自然なので、空のほうが少し領域が広い)、波しぶきや雲が中央に向かって伸びている感じになっていて、目線が自然と中央に流れやすい。

中央から全体へ、その広がりや奥行きを感じられるようになっている。

03.

木々に囲まれた中で、空を見上げられるポイントを中央に配置。中央に木が寄っているような角度だし、質量が中央だけ抜けているので、こちらも自然と中央に目が行く。

ちなみに、見せたい景色に集中させるためだったり、余計なものを見せないために、例えば壁や木や障害物などで、見える範囲を制限してしまう「額縁効果(フレーミング)」という写真の見せ方があるが、この写真もある意味、空を限定的に見せているので、この写真は「額縁効果(フレーミング)」という手法にも通じている。

まとめ

この4つの基本的な構図を覚えることで、撮り方をルール化することが出来る。ただ、構図は主役ではない。あくまでも「何を撮りたいのか」「何を見せたいのか」が主であり、それを表現する方法として構図がある。

奥行きが見せたい。だったら少し余白を作ろうか。それなら三分割法か四分割法が最適かもな。でも、真正面から撮ったら面白くなかった。じゃあ対角線構図を使ってみよう、とか。

余計なものは排除したい、じゃあ周囲をボカして中央に被写体を配置してみようか。日の丸構図がいいかもしれないな、とか。と言っても、写真の撮り方に正解はない。別にプロじゃないんなら、そんなこんなで試行錯誤しながら楽しめるのが一番だよね。